I様邸の庭(愛知県豊橋市I様邸)


施工前

お施主様がご自身で木を植えて、手入れをすること40年以上。現在、80歳を越え、手入れもなかなか出来なくなり、つくりかえる事になりました。愛情を込められて育てられたお庭です。お施主様にとって大切な木を残しつくりかえる事になりました。


施工後

まずは剪定と伐採と芝の撤去から始めました。木は移植できるものを移植し、新しい木を入れることはしませんでした。芝の管理が出来なくなってきたので、砂利にすることにしました。景石をいれ、仕上げに苔を播きました。ゆくゆくは苔が生えそろい、緑に包まれることでしょう。

 

お施主様はたびたび庭に出てこられて、ご覧になっていました。そのたびに私に指図をし、想いを伝えてくださいました。私とお施主様の年齢の差は60歳近いものがあります。感覚的なものや、価値観、好みなどでも差があると思います。最初は正直不安でした。庭が唯一の道楽とおっしゃるお施主様の理想の庭を、私のような無知で、未熟な人間が作れるだろうか...

しかし、お施主様の指図や、休憩中の会話、打ち合わせなどのおかげでどういったものが好みかというのがつかめてきました。作業をしていく中で私から提案することが出来るようになり、お施主様もそれを受け入れてくださいました。朝、現場に行くとお施主様が新たな注文をされます。それはとても楽しいものでした。ライブのような感覚。作業していくと変わっていく庭。そのたびに新たに浮かぶアイディア。それについての打ち合わせ。大変ですが、私もお施主様も良い庭をつくるという目標があるので苦ではありませんでした。景石も黒っぽい石で、山に転がっているような普通の石でいいという注文でした。候補の石の写真を持っていき、打ち合わせをさせていただきました。お施主様は私に任せるとおっしゃいました。私はお施主様が理想としているであろう石を選び庭に据えました。お施主様は笑顔で頷いていました。その姿を見て私はお施主様に育てていただいたのだと実感しました。とても勉強になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

最後に苔を播き終え掃除をしているとお施主様は

「もうどこにも行かんでいい。死ぬまでこの庭を見ていたい。」

この言葉は私が死ぬまで忘れない言葉となりました。私の宝となりました。今後、庭の手入れをさせていただくことになりましたので。さらに良い庭になるようにしていきたいと思います。